地方移住したFIRE生活

糸島移住、こんな人にはすすめない

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16〜24分

リード

今、自分の住む街、糸島は、個人的にはとても住みやすい場所だと思っておりますし、また、自分だけでなく、広く人にもお勧めできる恵まれた環境の街ではないかと思っております。

実際、自分の東京在住の知り合いの何人かが地方移住を検討していて、その候補地の一つとして糸島を考えているという声を聞きますし、その際は実際住んでいる身としてなかなかお勧めできる場所だ、と、アドバイスしました。

とはいえ、100人いたら100人全員にお勧めできるか、といわれるとそうではなくて、中にはお勧めできない人も一定数いるかと思います。

つきましては、本日は、こういう感じの人には糸島への移住はお勧めできない、という内容のお話をさせていただこうかと思います。

まず最初に全体の話の前提として、「糸島」と一言でいってもそれなりの広さがあって、地域ごとに特色が分かれる点について触れる必要があります。ごくおおざっぱに大別すると、まず、鉄道沿線の 駅から徒歩圏に広がる市街地エリアは、「都市生活圏」というとちょっと言い過ぎかもしれませんが、ある程度「都市的」な生活スタイルが可能な地域です。仮にこのエリアを「都市的生活エリア」と呼ぶことにします。この「都市的生活エリア」に住むと、だいたい徒歩や自転車での移動圏内に必要なお店がありますし、電車を使えば乗換なしの30分強で天神などの福岡市中心部にアクセスできます。また、旅行に行くにしても、同じく電車を使えば 新幹線の博多駅や、福岡空港まで 直通40分前後の時間で着いちゃいます。比べる場所によっては福岡市内よりもかえって空港や市中心部へのアクセス時間が短かったりします。

一方で、この「都市的生活エリア」は糸島市内の限られた地域であり、それ以外の地域はだいたいが自然に恵まれた農水産業が中心のエリアです。で、このエリアを仮に「自然派エリア」と呼ぶことにします。こんな感じで、糸島をザックリ二つに分けると、「都市的生活エリア」と「自然派エリア」の2種類に区分できるといえます。

糸島の「都市的生活エリア」に移住する場合は、ぶっちゃけそんなに大層な心構えや覚悟はいらないように思います。他の日本各地の市街地エリアと同じように、朝の通勤時間には駅の改札前で街頭演説やチラシ配りの横を足早に人々が通り抜ける光景が広がり、公園ではママ友たちが談笑し、マンションの自転車置き場には盗難注意の貼り紙が貼ってあり、晴れた夜空を見上げてもセブンイレブンの煌々とした灯りで満天の星空が見えるなんてことはありません。今まで都市部に住んでいた人が糸島の「都市的生活エリア」に移り住んだとしても、言ってみれば、大田区蒲田の環八沿いのアパートからつくばみらい市の駅近住宅街に引っ越しました、ぐらいのレベルの環境変化にとどまるかと思います。

ということで、今回の話においては、糸島の「都市的生活エリア」に移住するケースは除外いたしまして、あくまで、それ以外の、いわば「糸島らしい糸島」ともいうべき「自然派エリア」に移住するケースを想定して、どんな人は移住に向いていないか、という話をさせていただきたいと思います。

結論からいいますと、糸島固有の地域的特性として、何か移住者を受け入れないような要素は特にないと思います。移住をすすめないとすると、糸島に限らず、一般的な地方生活に向いていない人が移住を考えているようなケースが対象になるかと思います。

で、どんなタイプが向いてないかいうと、まず一つ目は、すごく当たり前の話ですが、車に乗らない人は向いてません。車を運転するのが苦手な人、嫌いな人、そもそも免許すら持っていないし取る予定もない人、そんな方々にはお勧めできません。自然派エリアに住むとなるとほぼ間違いなく、車はまさに生活必需品でして、買出し、子育て、通院、などなど何をするにしろ、車がないととてもやっていけません。自分の人生の一定の時間は車の運転シートで過ごす、と腹をくくる必要があります。もし、糸島の生活で車も持たないとなると、それはまるで赤兎馬のない呂布、あるいはミレニアムファルコンのないハン・ソロ、あるいはグレンダイザーのないデュークフリードのような決定的な欠落感を抱える状況に陥ります。

ちなみに、もともと車の運転は苦手だけれども、郊外なら交通量が少ないんだしまぁなんとかなるんじゃないか、という楽観的展望を抱いている人がいるならば、注意が必要です。田舎道においても、いや、田舎道の方がむしろ、それなりの危機回避の運転技術が必要、といえるからです。一つは高齢者ドライバーが多いので、老人による悪意なき危険運転に遭遇する確率がそれなりに高いことを覚悟する必要があります。交差点で対向車線にいる右折車に限らず、脇道から合流してくる車などに関しても、「おっ、そこで飛び出してくるか」というアグレッシブなムーヴに肝を冷やすことは少なくありません。また、携帯電話が鳴り出すと見境なくその場で急停車して電話応対している律儀な高齢者にもよく出くわします。ちなみにそういう車はたいていは軽自動車で、そしてなぜか後ろ(リヤゲート)がへこんでいる車が多いような気がします。

悪意なき危険運転は老人だけに限りません。週末になると出現する「わ」ナンバーのサンデードライバーにも注意を払う必要があります。風景にみとれて対向車線にはみ出してきたり、ナビを見ながらウィンカーなしに蛇行して店の前で急停車したり、逆にハイテンションで異様にスピードを出して無理な追越しをかけてきたり、なんてことはよくあるので、週末の道路はさながらマリオカート並みの注意を要します。

また、田舎道には野生動物たちもよく登場します。狸やアナグマやウサギなどを路上で見かけることは珍しくありません。特に夜間の運転では、ヘッドライトの灯りをめがけて飛び出してくる場合があるので注意が必要です。車どおりが少ないからといって、いい気になってスピードを出すとフロントガラスに想定外の物体が飛び込んでくるかもしれません。

そんな危ない思いなんてまっぴら御免だ、車の運転なんてしたくない、という人については、車社会である地方への移住はちょっとお勧めできないかなと思います。

同じく糸島に限らず都市部から地方へ移住する際に一般的に留意すべき点として考えられるのが、「自治会」の存在です。自分は人生のほとんどを東京で過ごし、糸島に引越する直前は福岡市中央区に短期間住んでいたのですが、実は糸島に移り住んで人生で初めて「自治会」というものの存在をリアルに知ることになりました。住民票の転入届を糸島市役所の窓口でしていたときに、「こちらがお住まいの地域の自治会の区長さんの電話番号ですので早めにご挨拶して下さい」とおもむろに窓口の人に言われて、今まで役所でそんなことを言われた経験が皆無だったのでポカンとしつつ、いわれた番号に電話して、地域の長老のありがたいお話を拝聴し、自治会に入会したわけですが、今までの自分の人生で住んだ場所はことごとく、都市部の住民の流動性が高いエリアだったので、コミュニティへの関わりということでいえば、せいぜいマンションの理事会のメンバーになったぐらいで、たぶんどこの場所でも自治会や町内会は存在したのかもしれませんが、まったく関わることなく過ごしていましたし、まったく関わらなくても何ら支障も軋轢も不便もなく暮らしていけました。ですので、糸島に移り住んで、ゴミ当番や自治会費の集金係をやったり、近所の清掃活動をやったり、といった自治会の活動に参加することは、自分にとって初めは少しとまどいましたが、とても新鮮な経験となりました。一方で、ニュースなどでも取り上げられている通り、時代の変化と共に自治会への加入比率が減少傾向にあるのは全国的な現象で、糸島においても加入率は年々減少しているようです。特に都市生活における人間関係の希薄化に慣れきった人にとっては、自治会活動への参加義務は何かと煩わしく感じられるかもしれませんが、もしそれが絶対無理と感じる人にとっては、糸島に限らず、自治会活動が活発で地域の結びつきが深い地方部への移住は慎重に考えた方がいいと思われます。

注意が必要な点は、都市部と違って、地方における自治会は、本来行政が負うべき機能の一部を事実上引き受けているという点です。この認識をもたずに、単に盆踊りなどの地域交流を主催する任意の寄り合いのようなものだととらえると、大きな誤解だと思い知ることになります。一方で、自治会の運営方法は各所それぞれだと思いますが、物理的な回覧板が連絡手段になっていたり、何かの役割の当番が順番にまわってきたり、といった昭和由来のアナクロな仕組みは、共働きや単身世帯が増加している今の時代にはフィットしていないと思われる点が正直見受けられます。そんな感じで少なからず課題点も抱える自治会というシステムに、できれば関わらずに距離をおきたいと考える人にとっては、地方移住は慎重に検討した方が良いのかなと思います。

以上のようなことが、糸島の「自然派エリア」に住むことになった自分が実際に感じたことです。たしかに糸島市内にはアップルストアもスタバもないですが、自分は車やバイクの運転が好きなタチなので特に不便は感じませんし、むしろ郊外にありがちな大型量販店が手ごろな距離にあったりするので、DIY系の道具をそろえたりする上でも個人的には満足しています。

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